関数と大学生とグラフ

2021/12/31

■意味のある学習が大切。

 先日、仕事の関係で大学生講師が高校生に一対一で数学を教えている現場に遭遇しました。二次関数の最大値、最小値に関する問題に取り組んでいるようでした。二次関数は定義域によって減少、増加が変化するので最大値、最小値を求める際には定義域を場合分けして、それぞれの定義域に対する最大値、最小値を回答する事になります。
 生徒がこの問題の説明を聞いた後に、その大学生と生徒はこんな会話をしていました。
 
H:グラフは必ず書いた方が良いですか?
C:うん・・・・。どうだろう。グラフをイメージするのって難しいかもね。

 大学生にとって大切なのは正解する事です。そして、出来る限り速く正解する事です。従って、グラフを書く事は回答する為に必要なら書けば良いし、なくても回答出来そうだったら書かなくても良いのです。こうなったのは、我々大人がそうする様に促したので大学生には何の責任もありませんが、その為に考え方やその理由には何の興味もないのです。難関大学に在籍している大学生程、この傾向は強い様に感じます。
 これが、大学生講師の限界なのです。正解する為だけの無意味なものを、ただただ社会的に称賛されるであろう大学に入学したいと言う、これまた無意味な目標に莫大な時間を費やした人の学習にに対する価値観はどんなものなのでしょうか。現在の教育に関する社会の状況がこれを証明している様に思います。当然ながら、現在の悪環境下においても自力で学習を正しく継続している大学生は全ての大学に一定数は存在しています。その様な大学生は自分の学習で手一杯で、いくらお金を貰っても自身の学びにならない様なアルバイトはしないと思いますが。
 変化を扱う際の数学的手法の一つが関数であり、変化をより自明的に理解できる方法がグラフなのです。この事については、「関数と変化とグラフ」で説明していますので参考にして頂ければと思います。最大値、最小値に回答する為には、このグラフを紙に書こうが、頭の中でイメージしようが変わりはなく、何れにしてもこのグラフを根拠に定義域別に最大値、最小値を主張し回答するのですから、グラフは必須なのです。
 この事は、現在の大学の入学試験に利用されている共通テストの問題点にも繋がってくる様に思います。改善しようとしているのは感じられますが、問題点の認識とその改善方法の的確性に疑問を感じ得ません。

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